教員情報詳細
- 所属名称
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日本語文化学科
- 資格
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准教授
- 学位
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修士(言語・文化学)
- 研究分野
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日本語教育学
- キーワード
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日本語教育、自律学習、学習動機、異文化間コミュニケーション
- メールアドレス
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- 大学
- r_nohatamukogawa-u.ac.jp
日本語学習者の学習動機が高まったり、減退するのにはさまざまな要因があります。言語学習の教室において、教師の行動や教材のレベル、学習者がどのような目的を持って学習しているのかなども学習動機を高める要因となります。試験でいい成績を取る、クラスの仲間といい関係であることなども要因のひとつとなります。しかしながら、学習動機は教室の中だけでアップダウンするのではありません。
自身の研究では、日本語学習者の学習の場を広く捉え、教室内外において周囲の他者から相互的にどのような影響を受けながら日本語学習動機を維持しているのかについて考え、特に他者の役割について着目しています。特に日本の専門学校に進学したベトナム人留学生の学習動機についてインタビュー調査を行い、質的に分析しています。現在、日本に留学し日本語学校で勉強した後、専門学校に進学する留学生(特にアジア非漢字圏)が増えていますが、専門学校への進学は、人生においてキャリア形成の近道だと捉えられていると考えます。自国の高校卒業にあたって将来の選択肢について考え、その中で日本で働くという自己実現を目指すという道を選び、日本語学習を始めるというケースが見られます。
本学名誉教授である上田和子先生の研究グループの一員として、日本語教師によるオートバイオグラフィーの実践を行っています。日本語教師はどのように内的キャリア(仕事の実績や組織内での地位といった「外的キャリア」に対し、職業生活における歩みや動きに対する自分なりの意味づけ)を積み上げていくのでしょうか。日本語教師は、日本語教育の現場の経験を積み重ねる以外に、ことばの学習や異文化に関する独自の経験を持ち、それらが有機的に結びついて内的キャリアを積み重ねているのではないかと考えます。
オートバイオグラフィーの実践では、具体的には①「言語ヒストリー(LH)」を書いてそのLHにコメントをしあい、ディスカッションすること、②「言語ポートレイト」を書きお互いに質問をしあう、という実践を行っています。その実践を通じて得られた、ことばをめぐる経験のナラティブからは、自身の学んだ複数の外国語の位置づけや価値が異なっていること、外国語学習経験が「人とのかかわり」という経験と切り離せないこと、自身が日本語母語話者としての権威性を有していること等への気づきが得られました。このような気づきが再構成され、日本語教師としての「態度」につながっていくと考えています。