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2024.10.22 現在

教員情報詳細

野口 和雄(ノグチ カズオ)
ノグチ カズオ 野口 和雄 Kazuo Noguchi
所属名称

薬学部 健康生命薬科学科

資格

教授

学位

博士(薬学)

研究分野

食品機能、医薬品開発、循環器

キーワード

機能性表示食品、心血管、代謝、イオンチャネル、トランスレーショナルリサーチ

社会貢献活動

公益社団法人 日本薬理学会 学術評議委員, 公益社団法人 日本薬理学会 薬理学エデュケーター, 公益社団法人 日本薬学会 会員, 学校法人 東邦大学薬学部 客員教授

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武庫川女子大学薬学部・食品機能科学研究室

東邦大学薬学部・活躍する卒業生

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  • knoguchiアットマークmukogawa-u.ac.jp
教育研究業績書

https://www.mukogawa-u.ac.jp/gakuin/gyoseki/pdf/id_55085.pdf

健康をサポートする新規食品成分の探索と作用機序の解明に関する研究

 食品機能科学研究室は、2020年4月からスタートした新しい研究室です。
 ヒトゲノム解析が終了し、どの遺伝子がどの病気と関連しているかの研究が進み、人類の寿命は延伸しつつありますが、我々の身の周りにある食品による生体機能制御の解明は十分とは言えません。それら食品の生体機能への調節作用を解明し、動物やヒトでの効果を検証した結果をエビデンスとして社会に発信していくことが、より多くのヒトが人生100年時代を健康に迎えられためには重要です。
 以上の背景から、我々の研究室では食品成分の生理機能を解明していくことを主なミッションとしています。具体的には、「生活習慣病、例えば「血圧が高めの方」に適する新規食品成分の探索と作用機序の解明」および「超高齢化社会で急増する心不全、いわゆる「心不全パンデミック」の低減に寄与できる、食品成分の探索と作用機序の解明」に取り組んでいます。

2024年度研究室メンバー

修士1年(第3期生)1名、学部4年(第4期生)5名、学部3年(第5期生)7名、学部2年(早期体験)2名、学部1年(早期体験)2名、教員2名、計19名

【研究課題1】柑橘類果皮由来ポリメトキシフラボンの心血管系機能に対する作用に関する研究

 柑橘類スダチ果皮に豊富に含まれるポリメトキシフラボンの一種であるスダチチンは、生体に多様な薬理作用を示します。特に、高脂血症などの生活習慣病改善効果は、動物のみならずヒトでも報告されており、スダチチンの生活習慣病予防効果が注目されています。しかし、心血管系機能に対するスダチチンの作用は十分に解明されていません。
 そこで我々の研究室では、スダチチンの心血管系機能への作用を検討した結果、スダチチンが血管内皮非依存的な弛緩作用を示すことを発見しました。その作用機序として、フォスフォジエステラーゼ3および5の阻害作用を介した、cAMPおよびcGMP依存性のシグナル伝達系を活性化していることが明らかになりました。また心筋に対してはマイルドな刺激作用(陽性変時および陽性変力作用)を有していることも明らかになりました。
 これらのスダチチンの薬理学的な作用特性は、降圧作用や末梢循環改善を通じて代謝の亢進をもたらし、生活習慣病の予防につながる可能性があると考えられます。

Biol. Pharm. Bull. 46, 1583-1591 (2023).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/46/11/46_b23-00386/_pdf/-char/en

Biol. Pharm. Bull. 47, 2011-2020 (2024).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/47/12/47_b24-00575/_pdf/-char/en

【研究課題2】ヒハツ果穂由来成分ピペリンおよびピペルロングミンによる冠動脈弛緩作用に関する研究

 コショウ科ヒハツ果穂に含まれるピペリンは、血流増加による発汗作用や末梢血管の拡張による降圧作用が知られていますが、心臓にある冠動脈への影響は十分に明らかになっていません。また、ピペリンと同様に含まれるピペルロングミンの薬理作用も不明な点が多く残されています。
 そこで我々の研究室では、形態学的にも機能的にもヒトと類似性が高いブタ冠動脈標本を用いて、ピペリンおよびピペルロングミンの作用をCa²⁺チャネル遮断薬ジルチアゼムと比較し、その作用機序を検討しました。
 結果として、ピペリンおよびピペルロングミンには冠動脈平滑筋のCa²⁺チャネル遮断作用が認められ、特にピペルロングミンの方がピペリンよりも強力であることがわかりました。また、ピペルロングミンには細胞内Ca²⁺シグナリングの抑制作用も明らかにしました。
 本研究で明らかになったように、ピペリンおよびピペルロングミンは狭心症治療に用いられるジルチアゼムと同様に冠動脈のCa²⁺チャネル遮断作用を有したことから、これらの成分は血流および酸素供給量の増加にも寄与する可能性が十分に期待されます。今後、予防の観点からも、抗狭心作用や抗心不全など心保護作用への応用が見込めるかを探るため、さらに基礎研究を進めています。

Biol. Pharm. Bull. 47, 130-137 (2024).
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/47/1/47_b23-00694/_pdf/-char/en

【研究課題3】心筋および気管平滑筋におけるβアドレナリン受容体の機能解明に関する研究

 βアドレナリン受容体はβ1、β2およびβ3の3つのサブタイプに分類され、β3受容体は脂肪組織や膀胱平滑筋に主に発現し、脂肪の分解や排尿などの機能に深く関わっています。また、β3受容体は心筋および気管平滑筋においても発現していますが、それら臓器での機能は十分に明らかになっていません。
 本研究室では、心房筋および気管標本を用い、β3受容体選択的作動薬ミラベグロンによる変時作用、気管の弛緩-収縮の機能を検討することで、各臓器でのβ3受容体の機能を明らかにすることを目的とした研究を実施しています。

https://confit.atlas.jp/guide/event/pharm144/subject/30P-am-217/date?cryptoId=

【研究課題4】ヒト経口吸収率を改善するクルクミン新規製剤に関する臨床研究

 ショウガ科ウコンの根茎に多く含まれるクルクミンは、加齢に伴って低下する認知機能の維持に有効な機能性関与成分ですが、経口吸収率が低いという欠点を有しています。この欠点を克服する目的で種々の改良製剤が開発されていますが、十分な製剤はまだ少ない状況です。
 そこで我々は、新規考案したクルクミンと魚油の混合製剤を用いた、オープンラベルクロスオーバー試験において、クルクミン-スクワレン混合製剤(CSQU)およびクルクミン-ドコサヘキサエン酸混合製剤(CDHA)の健常人における吸収率を、未製剤化クルクミン抽出物(StdC)および固体脂質クルクミン粒子製剤(SLCP)と比較しました。
 その結果として、CSQUおよびCDHAの両魚油製剤は、SLCPと同様にクルクミンの吸収率を有意に改善させることを明らかにしました。
 Biosci. Biotechnol. Biochem. 86, 1688-1694 (2022)
 https://academic.oup.com/bbb/article/86/12/1688/6748200 

 この研究成果は、クルクミン配合の機能性表示食品(メモリンEX®)の開発・販売に貢献しました。
 https://www.lequio-pha.co.jp/products/memorin/

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